【オリジナル小説】ローレッタ-Lauretta-
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A5/40P/表紙 偏光ラメペーパーピンク/角レース加工 かなりキラキラした装丁になりました! 試し読みページ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23232089 こちらは招文堂さん主催の文芸テーマアンソロジー『おまねき vol.3 瓶詰コレクシオン』に掲載。アンソロジーでは途中まで、個人本は最後までお読みいただくことができます。 招文堂さんHP: https://yamaoritei.com/shobundojinshi
書評*泣ける場所で読むことをお勧めします
==ゆめこ(@5hato3) 泣きました。最初どこかお洒落なカフェにでも行ってゆったりと読もうかなと思ったりしていましたが、結局家で読むことになり、それでよかった。人目を気にぜず鼻をすすりながら没頭して読むことができました。 主人公が年齢的に少女から大人の狭間で、つらい経験を抱えて生きるローレッタの葛藤が、とてもリアルに感じられました。 大人から見れば子供だけど彼女自身は自立しているつもりで、でも考え方や言葉の端々に少女らしさが見え隠れしている。 荒々しく繊細な10代らしさを、懐かしいなと感じるとともに、彼女の強さに驚き、結末はどうなるのだろうとドキドキしながら読ませていただきました。 また文字の表現が魅力的で、どこか可愛らしくもあり分かりやすい擬音語や、出てくるワードから想像する風景はとてもお洒落で、読んでいる間は確かに別世界にいるような感覚になります。 お洒落な異国の雰囲気や幼いころを思い出すどこか懐かしい空気を感じながら、読み終えたころには、私が「瓶」に詰めるなら何だろうと、自分の中に眠らせていた本心に向き合わされるような深い物語作品でした。 「瓶」といえば、その使い方や意味がとても斬新で、自分も今度機会があったらやってみたいなと思いました。 何を詰めるかはその時ゆっくり考えたいと思います。 繊細で複雑な感情を抱えるたくさんの方にお勧めしたい本です。
書評*願いの気持ちの強さが、彼女を強くさせた
===匿名(30代女性) 「子は親を選べないが、幸せを自ら選ぶことはできる。」読後に抱いた感想はまずこれでした。 この本は母親を早くに亡くし、新しい義母とその連れ子である妹レティとの生活になじめない主人公ローレッタが、自分の幸せを手に入れるための物語です。 家の居場所と自分の心の拠り所を失ってしまったローレッタ。大体の人ならローレッタの立場になった時「早く大人になって家を出て自由になろう」と考えると思う。私ならそう考えた。けれど、彼女はそうではなかった。 「チャンスが巡ってきたら、そのチャンスは絶対に離したりしない。」その宣言通り、大人になるまで待つなんてしない。思わぬきっかけを糸口に、自らの手で現状打破するために孤立奮闘していく姿は、多感な時期の少女ならではだなと感嘆しました。大人になり経験値をそれなりに積んでいくと、誰しもチャンスをみすみす見逃してしまうものです。 思いがけずレティと心を通わせていくシーンでは、義妹のレティも新しい家になじめず小さな体で苦しんでいた一人だったから、ふたりは“姉妹”に近づけたのかもしれないなと思いました。 すらすらと読み進みやすい文体でありながら、15歳の多感な時期特有の、言語化しにくい苦しい胸のモヤモヤをリアルに表現していくみかげさんの文章表現力は圧巻です。そして大胆かつ衝撃のラストに度肝を抜かれました。前作「ブルーベルの咲く庭で」でもそうでしたが、ラストは最後まで予測不能で良い意味で裏切ってくれます。 どうしてレティはいろんなものを壜に詰めて庭に埋めていたのか。 ローレッタはどんな人生を選択するのか。この答えを、是非みなさんの目で確かめていただきたいです。
書評*ローレッタ
===ねむまきひつじ(@tictak_meme) 私はどれだけ前に進むことを拒否する言い訳を考えて日々生きているのだろう、と、スライムのように椅子へとへばりつきながら考える。 ローレッタの表紙案を見かけて、あらまあカワイー!とはしゃぎ、実物を手にしたときの、さながら特別な晴れ舞台の為に用意したドレスを閉じ込めたクローゼットを収めたような表紙に、どんな可愛いお話なのだろうと胸をときめかせながらページを開く。 しかし飛び出してきたのは樫の棍棒を片手に、判読不可の古書を抱えたまま実直に地に足をつけたような意志の女、ローレッタである。わあ強そう。 そしてその傍らにはちょっと不思議で、傍目には不気味にも映る趣味を持つ妹。 そんな二人を中心に描かれる葛藤と挑戦の話は、どっか行きたいな〜と毎日漠然とした現実逃避を抱えながらその実パソコンと向き合う日々の私にとって、痛いところを突かれた。 みかげ氏の描く世界の片隅に確かに存在しそうな小説の世界は手軽に脳内を豊かにしてくれる。だからこそ常日頃選択を続けた果ての自堕落な今と、ローレッタの選択の果てについて考えてしまう。 瓶が好きだ。それは蓋が閉じられ、密閉されている間、外からは閲覧できるのに中の時間が停滞したかのように閉じ込められるから。 人は停滞が好きだ。隙あらば細胞の動きに従って恒常的で流れに従って生きていきたがる。 夢見た日のために用意したドレスを閉じた箱をさて、私は着ない言い訳を探して生きていくのだろうか。 背中をグイグイと笑顔のローレッタに押され、スライムからようやっと人の形に戻る体験をぜひ味わっていただきたい。